よくある質問
欠陥住宅とうほくネットによく寄せられる質問をまとめました。
●住宅の「欠陥」とは、どういうものでしょうか?
住宅の「欠陥」とは、
①法令等に定められた基準を満たしていない場合、
②契約によって有すべきことが求められる品質・性能に欠けている場合(契約違反)、
③住宅において、通常有すべきものとして一般的に求められる品質・性能に欠けている場合等があります。
●「欠陥」を判断するときの「基準」とは、どういうものでしょうか?
住宅の「欠陥」を判断する際の基準となるのは、
①契約書・設計図書
②建築基準法等の関連法規
③旧住宅金融公庫仕様書④日本建築学会等の標準的技術基準
④慣行上認められている標準的な工法等があります。
●「欠陥」により、被害を受けた場合、誰に損害賠償等を請求できるのでしょうか?
(1)注文住宅の場合
請負(施工)業者が相手になります。建築士の設計・工事監理上のミスにより、欠陥が生じたような場合は、建築士も相手になります。
(2)建売住宅の場合
売主が相手になります。建築士の設計・工事監理上のミスにより、欠陥が生じたような場合は、建築士も相手になります。施工業者の施工ミスにより欠陥が生じた場合は、施工業者も相手になります。
●契約の解除ができる場合はありますか?
(1)注文住宅の場合
住宅が完成した後は、基本的に解除はできません。ただし、取り壊して建て替えなければならないほどの重大な欠陥がある場合は、取り壊し・建て替え費用相当額を損害として請求できます。
(2)建売住宅の場合
欠陥が重大で、売買契約の目的を達成することができない場合は、解除出来ます。
●「欠陥」住宅の被害にあった場合、どのような損害について、賠償請求ができますか?
(1)注文住宅の場合
①欠陥の補修費用
②補修期間中の転居・仮住まい費用(住みながら補修できない場合)
③欠陥の調査費用
④慰謝料
⑤弁護士費用
(2)建売住宅の場合
・売買契約を解除する場合
①売買代金
②売買の際にかかった費用(仲介手数料、登記費用、税金、 住宅ローン金利、火災保険料、不動産取得税、固定資産税、印紙代等)
③引越費用
④欠陥の調査費用
⑤慰謝料
⑥弁護士費用
・売買契約を解除しない(できない)場合
①欠陥の補修費用
②補修期間中の転居・仮住まい費用(住みながら補修できない場合)
③欠陥の調査費用
④慰謝料
⑤弁護士費用
●慰謝料は請求できるのでしょうか?
住居は生活の基本となる場所であることから、その欠陥により、財産的被害にとどまらず、精神的にも多大な負担を負ってしまうことがあります。 そこで、近時の裁判例では、生活を害する欠陥が明らかな場合は、慰謝料が認められるケースも増えています。金額は、ケースによって異なり、重大な欠陥であっても、慰謝料額は概ね100万円程度と思われますが、数百万円を認めた裁判例もあります。
●弁護士費用・調査費用は請求できますか?
弁護士費用については、欠陥が生じたことにつき、業者側に過失が認められ、被害者が勝訴すれば、損害額の10%程度を目安に、認められることがあります。 調査費用については、被害者が勝訴すれば、ほとんど認められています。
●紛争の解決手段として、どのようなものがありますか?
①相手方との交渉による示談
②裁判所での民事調停
③裁判
④住宅紛争審査会による紛争解決手続
⑤各地の弁護士会によるADR手続等があります。
●裁判所での手続はどのようなものがありますか?
(1)調停の場合
調停は、裁判所に申立書を提出することにより開始し、月1回程度のペースで調停期日を設け、裁判所で調停が行われます。一般的に、調停に適するのは、欠陥の程度が軽く、請求額が少額であるケースです。
調停では、被害者側と相手方が、交互に調停室に入り、調停委員に対し、お互いの言い分を述べます。また、各期日の間に、書面や資料を提出することもよくあります。
複雑な事件では、現地での調停期日を1回設けることもあります。調停委員は原則2名で、1名は一級建築士、1名は弁護士といった専門家であることが多いでしょう。
調停が成立する場合は、担当の裁判官も立ち会った上、調停調書を作成します。この調停調書は、判決と同じ効力をもち、強制執行が可能となります。 調停は基本的に話し合いですので、相手方が話し合いに積極的でない場合等は、申立てから2、3カ月で、不成立となり終了してしまいます。
実質的な話し合いが進む場合は、ケースにもよりますが、申立てから半年から1年程度で、話がまとまることになるでしょう。
なお、1回の期日にかかる時間は、1、2時間程度です。(弁護士が代理人となっている場合は、当事者本人が全ての調停期日に出席する必要はありません。)
(2)裁判の場合
裁判は、話し合いではなく、裁判所で、当事者がお互いに主張・立証を行います。実際は、口頭よりも書面での主張立証が中心で、通常1カ月から1ヶ月半に1回程度のペースで、裁判の期日が開かれます。
裁判では、先ず、書面による主張、証拠の提出がなされ、その後、争点が絞られると、必要があれば、証人尋問等が行われるという流れになります。
また、裁判所が第三者の鑑定人を選任し、鑑定が行われることもあります。 その後、お互いの歩み寄りが期待できる場合等は、和解の期日が設けられることもあります。
最終的には判決が出ますが、その判決を不服として控訴が行われることもあります。
なお、裁判の途中で、当事者双方の同意を得て、調停に回されることもあります。
訴訟は調停よりも時間がかかり、判決まで1、2年程度かかると考えられます。複雑なケースだと、2年を超えることもあります。(なお、弁護士が代理人につ く場合は、基本的に当事者本人が裁判に出席する必要はありませんが、和解をする場合等に、本人の出席が必要となる事もあります。)
●その他
(1)相手方と示談する時の注意点は?
いったん示談すると、あとで裁判をすることができないのが原則です。ただし、その示談のときに、前提となっていなかったことについては、後からでも再度請 求や裁判ができます。もっとも、そのようなことは例外的なので、示談の際に、当事者双方で何が紛争になっているのかしっかり見極めておく必要があります。
詳しくは、弁護士等の専門家にご相談ください。
(2)調停や裁判中に、補修工事を先にすることができますか?
可能ですが、その際、どこに「欠陥」があるのかを正確に記録しておくことが必要です。裁判官や調停委員に「欠陥」を見てもらってから、補修するという手段もあります。
(3)「欠陥」がある場合、請負代金の残金の支払を拒否できますか?
欠陥が軽微な場合をのぞき、欠陥を修繕しなければ、あるいは修繕費用を払わなければ、残金を支払わないと主張することができます。
(4)「欠陥」を主張するのに、期限がありますか?
あります。ただし、どういう場合に、どういう請求を行うかによって期限が異なりますので、詳しくは弁護士等の専門家にご相談ください。